■出演
杉山薫(ナイロン100℃) 仁田原早苗(Playing unit 4989)
鶴巻尚子 天野なおこ 吉田千絵(Playing unit 4989)
斎藤真吾 岡本篤(劇団チョコレートケーキ) 福田英和([7]の椅子)
吉橋航也(勇者の森) 常盤昌平(ブリングアップ)
■作・演出
大山鎬則(ナイロン100℃)
■スタッフ
舞台監督:西廣奏/照明:シバタユキエ/音響:茶木陽子(モックサウンド)
宣伝美術:上田大樹/宣伝写真:太田家世(自由創作師)
制作:迫田環/企画製作:シグナルズ
カナコより、お母さんへ。
ねェお母さん、この前お父さんの夢に出たらしいね、
「俺が病気だって教えてくれた。」って、お父さん電話してきたよ。
お母さん、何でそんなことしたの?
お母さんがお父さんに切りつけられた時、必死でかばったのは私だよ。
私がかばわなければ、お母さんあの時もう死んでた・・・。
あの時私が負った背中の傷の前で、
お母さん、お父さんに知らせた理由を説明できる?
お母さん、お母さんと私がお父さんにひどい目にあわされていた事、本に書いたの。
そこそこ売れたよ。
その中の私とお父さんは、長い時間をかけて仲直りした事になってる。
世の中の人は、冷たい本当より、温かい嘘が好きなんだね。
今新しい本を書いてるんだけど、困ってるんだ、
また嘘を書こうと思うんだけど、書こうとすればする程、
冷たい本当が思い出されて・・・。
昨日、最近お母さんを亡くした女の子と知り合ってね、思い出話をされた。
その子のお母さんが、とっても優しかった事を証明する、
いくつもの思い出を話してくれた。
その子の話を聞いたら、背中に傷を負ったあの夜以来、
思い出せないことにさえ気づかなかった思い出が押し寄せたの。
お母さん、私お父さんを許さなきゃいけない?
許した方が、これから楽しい?
優しい思い出の片隅が垣間見えるたび、
あの夜以来の私を否定されているようで、苦しいよ。
優しい思い出は、胸しめつけるんだね・・・。
その事と向き合って書いたら、皆読んでくれるのかな?
それは、冷たい本当じゃなくて、温かい本当だけど・・・。
どう思う?お母さん・・・。